口が開かない。。。
こんにちは。副院長の重之です。
隣の大船渡市では歴史上最大級の山林火災がいまだに続いております。
ニュースで得る情報しかありませんが、ヘリコプターのプロペラ音や消防車のサイレンなど
なんだか気持ちが落ち着きません。
わたしは東日本大震災時、東京にいたため直接的なダメージはありませんが、
やはりどこか心の中で
あのときの心的ダメージがあるのかと。
今回のけたたましい音やニュースに出ている大船渡の市民の声などを聞くと
心がギュッと締め付けられるような感じを持ちます。
さて、わたしはこれまで顎関節症をはじめとした
口腔顔面痛の診査診断、治療方法を学んできました。
HPにも得意ですよ。と掲げていることもあり、
比較的多くのアゴの困りごとを引き受けています。
中でも痛みが主な主訴になりますが、口が開かないということもあります。
痛くて開かない、開けられないということですね。

上述した大船渡の大火災により避難をしている患者さんがいます。
その一人がいらっしゃって「口が痛くて開けられないのです。」ということでした。
顎関節症の原因の70%は噛む筋肉ということがわかっています。
今回も結果としては噛む筋肉が原因ではありますが、
その原因の引き金になっているのは
避難所生活によるストレスだと考えられました。
ストレスの要因はそれだけではないかもしれませんが、
大いに影響はしていることが想像されます。
口腔顔面痛を学ぶ中で、全ての疾患を
「生物ー心理ー社会」で捉えて診察にあたる
重要性を教えてもらっています。
顎関節症はまさにそういう捉え方をしないといけない疾患なんです。
今回来た患者さんも
・生物(アゴが痛い)
・心理(火事がどうなるか、今後の生活がどうなるか不安)
・社会(避難を強いられている状態)
おそらく…避難所では
マスクをして、簡易ベッドで隣との距離も近く、
楽しい気持ちになんてなれるはずもない、
そんな環境では口をつむんでしまう。
その結果、噛む筋肉は持続して緊張状態となり、口が開きづらくなります。
加えて、
開けると痛むという痛みの回避行動も伴ってますます口は開かなくなっていく悪循環。
なので、そんな環境であっても治さないと食事もまともに取れなくなってしまう。
こういう場合の治療方針は、
・歯と歯の接触に気づいたら離す(TCHの是正)
・開口ストレッチ
基本的に理学療法的アプローチで治していきます。
ちなみに、ストレッチで体を柔らかくするとき痛みを伴いますよね?
開口ストレッチも噛む筋肉を伸ばさないといけないので
多少は痛みをこらえて実施してもらいます。
徐々に口が開くようになっていけば避難所で
供給してもらえる食事も十分にとれるようになります。
いろいろ疲れもたまり、
ストレスが極限状態の中でも
食事をしっかりとり、
体力を維持してもらいたいものです。
とにもかくにも、早く火事が鎮圧されることを願うばかり。。。