副院長の話〜痛み研修→臨床編パート4〜
ここまで痛みについてお伝えしてきました。
歯科では痛みを主訴に来院する患者さんが日常化していますが、実は痛みだけでなく慢性的に困っている状態の患者さんが多くいることを
最近特に気になるようになってきました。
痛みの勉強をしていると患者さんの困りごとの多くに長年(慢性的な)の悩み(痛みを含めた様々な内容)があることに改めて気付かされます。
どういうこと?
パート3で述べたように「痛みは感情」ということにつながるのですが、
その「痛み」というのが、他の歯科的状況で例えると
①入れ歯が合っていないまま過ごしていた。
→長い間(慢性的に)ごはんが満足に食べられていない(食べられない苦しみ)。
②昔歯医者にかかって怖い想いをした。
→20~30年近く(慢性的に)に歯科治療を受けておらず、歯への関心も薄く、口腔内にある歯はボロボロの状態(恐怖、抑うつとした気分、無気力)
意外とこういう痛みではないけど、苦悩している、苦悩してきた患者さんが多くいらっしゃいます。
①を例とした患者さんの話です。残っている歯はちゃんと噛んでおらず入れ歯も相当昔に作ったような正直私から見たら使い物にならない入れ歯。それに市販の調整材を使って無理やり使用している印象。
表情もなんか暗い感じ、声もトーンが低くて元気がない。いろいろ相談して最終ゴールは保険外の入れ歯にすることになりました。治療用の入れ歯からスタートします。
その治療用の入れ歯を何回か調整した時に今までの状況と比べて何か食べたかったものでチャレンジしたものはありますか?と尋ねてみました。
そうしたら少し照れくさそうに「大きい粒のカリカリ梅を一口で頬張り、それをちゃんと食べられました。」と少し笑顔を見せながら教えてくれました。
これは私も、一緒に話を聞いていた歯科衛生士も、なんか嬉しくなりました^_^治療がうまく進んでいるということもありますが、長年の苦悩が少しずつ減っていく様子を見ることができています。
歯科医師はこういう長年(慢性的な)の苦悩(痛み)をもつ患者さんと向き合い治療(支持)することが大事なんだと痛みの勉強を通して学んでいます。