歯がなくなったあとは。。。
こんにちは。副院長の重之です。しばらく診療についての記事がなかったので今回はそこらへんについて。少し長いのでお時間あるときに見ていただければ幸いです。
私が陸前高田に戻ってきてから3年が経過しています。その中で保険診療も保険外診療(私費診療)もバランスよく患者様へ案内するように心がけています。
保険診療も良いところもありますが、どうしても使用材料などに制限があり本当にその人にとって良い治療なのかどうか微妙だと感じるときがあります。
以前から何度か紹介をしましたが、歯を失った部位への治療方法にはブリッジや入れ歯があります。ともに保険診療でできる方法です。安価に咬む機能を回復できますが、歯を削る必要があったり、入れ歯のばねがかかる歯に負担がかかり揺れが生じてくることもあり、長い目でみたときに実はじわじわと身体を傷つけている可能性があります。
ブリッジも何年後かにやり直すことになった場合、中で虫歯ができていたりすればさらに削り足す必要がでてきます。こういうことを時間をかけて説明し、患者様自身に選択していただいています。
歯医者が勧めたから。。。確かに勧めることはしますが押しつけではありません。その人にとってより良い結果が生まれるような提案をしていきます。メリット、デメリット、どれぐらい期間がかかるか、費用はどれぐらい。。。などをお伝えして、納得したうえで治療にはいっていきます。
こういう説明の結果、歯をうしなった部位への治療で保険はききませんが、インプラント治療を選択する患者様が少しずつ増えてきました。今年はすでに何人かの方に実施しています。
インプラント治療は手術が必要で、歯がはいるまでの期間はほかの治療と比べると時間がかかります。そして保険がきかないため、そのときにかかる費用は高額になってきます。
しかし、これまでの研究で長期にわたる成功率が90%以上と実はほかの治療方法よりも良い結果を生んでいることも事実です。
じゃあみんなインプラントにすれば良いじゃないか。これで一生ものだ。。。とはならないんですね。まだ原因がはっきりしていないインプラント周囲炎という病気があり、これを回避するために定期的に歯科医院へ通っていただきクリーニングや検診をしていかないといけません。
仮に歯をうしなったときブリッジにするために歯を削ったり、入れ歯で歯に揺さぶりをかけたりしていずれ悪くなる可能性があります。そういうときのために歯を削らない方法のインプラント治療は積極的な予防方法です。
治療方法は多岐にわたり患者様も悩んでしまいますが、一番は自分の歯です!!できるだけ自分の歯を削らない、失わないように痛くなくても歯科医院へ通い、口腔内の健康管理に努めていきましょう!
吉田歯科医院では虫歯や入れ歯、歯の根の治療、歯周病治療など再発が少なくなるような治療方法も提案しています。田舎だからとあきらめずに相談にいらしてください。沿岸と内陸の医療格差を小さくするよう努めております!!
直近で30代の若い方がインプラント治療を希望されました。元々ブリッジがはいっていたのですが、そのブリッジを支える歯根に問題があり、長期的な歯の予後などを説明し、各種治療との比較を説明しました。
根管治療前 CTでみると根の先に黒い部分が多いことがわかります。青と赤、赤と緑の線が交差している部位です。
術前にこういう状況がわかると根管治療をやった結果どの程度回復してくれるか想像がつきませんでした。根の中の治療をすれば保存することは十分可能ですが、長くもつとも言い切れない状態だと考えました。まだ30代この歯もしっかり機能してもらわないといけません。そこで当院ではまず根の問題を解決するべくマイクロスコープを用いて精密な根管治療をおこないました。
以下の写真はインプラント後に撮影したCTです。術前の黒い影はまだ残っていますが、根の中に緊密に白くうつる根充材が見えます。私なりに根管内の感染をしっかり取ったので今後治ることを期待しています。術前にはおそらく根尖由来の歯周ポケットがあったのですが、治療後歯周ポケットはなくなりました。成果が見え始めています。
ブリッジの支えとなる歯には負担がかかります。このように大きな根の先の病変があった歯ですから今後何十年のうちに弱っていく可能性が考えられます。最悪抜歯もあるでしょう。そのとき手前にインプラントがあることで奥歯を一気に二本失わずに済む、奥歯への負担が多少は減り一番奥歯が少し長生きするかもしれない、など長い目でみたときのメリットがでてきます。
若い人だからこそ歯を失ったところへインプラント治療は有効であるとおもいます。今後2か月ほど待機して歯を作り始めます。